私が今現在住んでいる北イタリア。コロナウイルス感染者と死者が特に多く、毎日のように家族や友人から心配のメッセージが入ります。
この1ヶ月のうちでイタリアでの状況は瞬く間に変わっていきました。今では外出制限が更に厳しくなり、ほぼ家にいる生活が続いています。
自分がその立場になって初めて事の重大さに気づくものですが、本当に何気なく行ってきた当たり前の日々の生活がいかに有難いものだったか実感しています。
今までなかなかこの現状について書く気になれなかったのですが、やっと筆を取ろうという気持ちになったので、イタリアの全封鎖を経験し今私が思うことをお伝えしたいと思います。
目次
アジア人差別への恐怖から始まった
2020年1月、イタリアでコロナウイルスの話が出始めた頃、一番怖かったのがアジア人への差別。ヨーロッパではアジア人というだけで避けられたり、ひどい時は罵倒されたりというニュースをよく見かけました。
自分もミラノで電車や地下鉄を使用する機会があったのですが、正直1人で外出するのは少し怖くなっていました。マスク使用率の低いこの地でマスクなんてした日には嫌な目に合うのではないかと、マスクをつけることに躊躇したことも。
けれど、実際には特に差別を受けることはありませんでした。差別をするのは一部の人間であり、あまり心配しすぎる必要はないと分かりました。
北イタリア封鎖から全イタリア封鎖へ
イタリアで徐々にコロナウイルスが広がっていき、2月下旬から夫の仕事がリモートワークに、娘の幼稚園も閉鎖となりました。そして3月には北イタリア封鎖、全イタリア封鎖とどんどん状況は悪化。
コロナウイルス感染者の多いミラノ近郊の街の封鎖が起きた時、ミラノもいずれ封鎖となるのではないかと若干予想はしていましたが、現状のようにここまで日常生活が制限されるとは思ってもみませんでした。
この1カ月の間に本当にどんどん州令が厳しくなっていきました。3月30日現在では、公園にもいけない、散歩やランニングにも行けない、自分の自治体から出てはいけない。とにかく家にいる日々です。
家のすぐ近くの公園も上の写真のように各遊具にテープがされていて全く遊べないようになっています。
イタリアのスーパーで買占めは今現在起きていない
コロナウイルスの感染者が出だした頃、ミラノのスーパーでもほんの一瞬買占めが起きました。その当時自分がスーパーに行った時は、写真のようにパスタの棚が結構空になっていました。
すぐに「供給は止まらない」という政府の言葉があり、その後は買占めはほとんど起こっていないようにみられます(多少品薄の物はあるけれど…)。我が家も今のところ食べ物を購入するのに困ったことはありません。
ただ辛いのは、スーパーの中に入れる人数が制限されている為、外で並ぶことが多いということ。
一度土曜日の朝早く家の近くのスーパーに行ったら、道路沿いまで人が並んでいて、中に入るまでに1時間待ちました。
このようにスーパーの裏側まで列ができていて、入り口すら見えない状況でした。
ただ夫がちょうど1週間後の土曜日、昼ご飯の時間帯を狙って同じスーパーに行くと、10~15分以内に中に入れたということ。
時間帯によっても人の出入りは違うので、なるべく並ばないでよい時間帯を狙って週1回~10日に1回ほど夫が買出しに出かけるようにしています。
スーパーの中では、今現在食品や生活必需品以外(例えば雑誌や本が売られている場所)にはテープが張られていて購入することができないようになっています。
家にいる時間が長い今こそ本は大活躍するのでは?と思う一方、確かにここまで店の中に入るのに並ぶなら本を選ぶのは今は避けた方が良いという気持ちにもなります。
地方へ流れ込む人々
北イタリア封鎖の情報が流れた時、ミラノの主要駅から大量に人々が出ていく姿を見た人も多いでしょう。
この一部の人々のせいで、北イタリアの人間のせいでコロナはイタリア全土に広がったと言われ、北イタリアに住む身としては正直心が痛みました。でも仕方ありません、実際にコロナウイルスを運んでしまったのですから。
もしもあなたが同じ状況に立たされたらどうしますか?
私は自分が独り身の立場だったら、自分が無症状の場合もあるし、親や周りの人を危険な目に合わせたくないので、自分の移動は絶対にしないと誓えます。
でもここ数日、東京に住む人々が地方に避難しそうになっているという情報を得てふと思ったのです。
自分が親の立場だったらどうするだろう?
もし我が子が1人で感染拡大地域に居たら、自分(親)のいるより安全な場所に戻ってきて欲しいと思うのではないか…と考える自分がいて少し怖くなりました。
この話を日本に住む自分の母にした際、彼女は全く同じ反応をしました。感染者や死者の多く出ているイタリアではなく日本へ戻ってきて欲しいと心の中では思っていたと。
もしかして私や母と同じような気持ちの親御さんが世の中にはたくさんいるのではないでしょうか。
でもイタリアと同じ過ちを犯してはいけません。本当に辛いと思うのですが、東京から地方に避難しようか考えているなら行動には移さないべきです。
イタリアでの生活は不安と常に顔合わせ
イタリアで生活する中で、「家族みんな健康で食べ物にも困らず生活できているだけで幸せ」と基本的には前向きな考え方をしていますが、ジェットコースター並に気持ちの浮き沈みがあるのも事実です。
感染者と死者がなかなか減少しないイタリアの現状を見て、いつまで続くのだろうと不安が押し寄せてくる。
夫の友人の多いベルガモという街(我が家から車で30分程の場所)で死者が大量にでていてすごく心が痛む。
私の住む自治体でも既に10名以上が亡くなっているので、自分たちだってもうどこで感染してもおかしくない。そんな恐怖が常にあります。
きっとイタリアに住む大多数の人が同じ気持ちを抱いていることと思います。ただ良かったなぁと思うのは、今はSNSなどで人とつながることができること。
私はツイッターをしていますが、イタリアで頑張っている人々と話すことはとても勇気づけられます。もしも辛い場合は、私にもいつでも連絡ください。話すだけでも少しは楽になると思うので。
日常生活のありがたみがよく分かる
イタリアで色々制限のある中生活をして、今までの日常生活がいかにありがたかったか実感しています。
家族や親せきと会う、友達と会う、レストランに行く、旅行に行く、散歩に行く、子どもを公園で遊ばせる、この全てのことが今は何もできません。
4歳になる娘は祖父母に会いたいと悲しそうにすることはありますが、「外には悪さをするMOSTRO(怪物)がいて今は家を出ることが出来ないんだよ」と言うと特に不満を言うこともなく家で遊んでくれているのがせめてもの救いです。
今はとにかく家にいることが必要となりますので、せっかくの家族みずいらずの時間を大切にしようと我が家では決めています。バルコニーでアペリティボ(食前酒)をしたり、娘とクッキーを作ったり、家で楽しめることを日々探しながら生活しています。
まとめ
コロナウイルスによってイタリアでの生活が変わり早1ヶ月が過ぎようとしていますが、まだ終わりは見えていません。
北イタリアは4月15日まで引き続き外出制限が出ていますが、今後また延長する可能性もあるでしょう。
正直今は辛いことも多いですが、それでも近い将来収束してまた以前と同じような生活ができるようになると信じています。
もしあなたが日本に住んでいたら、イタリアに比べれば感染者や死者も少ないしまだ安易に考えているかもしれません。しかし、感染は一瞬で広がり、日常生活はガラリと変わることを頭に入れておいてください。
自分だけは大丈夫だと思わずに、人ごみは避け、1人1人が意識して予防してくれることを祈っています。
これ以上コロナウイルスの犠牲者が増えませんように。
andrà tutto bene!
全てがうまくいく!
フォローはこちらから
Tweets by yachi02080302